贈与税について

平成18年中の贈与税の課税対象者は約37万人で、贈与税の対象となった財産価額は2兆288億円となっています。
(暦年課税分/9422億円、相続時精算課税分/1兆870億円)
なお、贈与税の申告期限は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までとなっており、相続税と同じく金銭で一時に納付することが原則です。
ただし、一時納付の特例である延納は認められていますが、金銭納付の特例である物納は認められていません。
(納付を困難とする金額の範囲内で、5年以内の年賦延納)
   →贈与税がかかる場合
   →贈与税の申告と納税
   →贈与税の現況

(1)贈与税の対象となる人(納税義務者)

他人から財産を無償で譲り受けると、もらった人は贈与税の納税義務者となります。
贈与税がなければ、相続税を回避するため生前に贈与を行い相続財産を減少させようとするはずです。
つまり贈与税は相続税の補完税としての役割を担っていると言えます。
贈与税の税率は、下表のように相続税の税率と同じですが、累進課税の度合いが高く設定されています。
贈与税は、その年の1月1日から12月31日に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額110万円を控除した金額が対象となります。(暦年課税)
ただし、相続時精算課税制度を適用した場合は、特別控除額2,500万円を控除後の金額に一律20%の税率で課税されます。  【詳細は(5)を参照願います。】
→贈与税の税率と基礎控除額
→複数の人から贈与を受けた場合の基礎控除額
→暦年課税と相続時精算課税制度の併用例

 (平成19年4月1日現在)
贈与税の課税価格税率控除額
200万円以下10%
200万円超 300万円以下15%10万円
300万円超 400万円以下20%25万円
400万円超 600万円以下30%65万円
600万円超 1,000万円以下40%125万円
400万円超 600万円以下30%65万円
1,000万円超50%225万円
例) 500万円を暦年課税により贈与した場合の贈与税額
(500万円 − 110万円)× 20% − 25万円 = 53万円
※贈与が確実に行われている事を証明する為、以下の3つについて特に注意が必要です。
 
1.贈与が贈与者・受贈者の双方の合意によってなされていることを証明するため、贈与契約書を作成・保管しておきます。
2.金銭贈与を行う場合、贈与者の銀行口座から受贈者の銀行口座へ振込むなど金銭の動きを証拠として残しておきます。
3.2.の場合、受贈者の通帳と印鑑は贈与者ではなく受贈者に管理させます。

(2)贈与税の対象となる財産

基本的には相続税の対象となる本来の財産と同じもの(土地・家屋・株式・預貯金・貸付金・ゴルフ会員権・家財・現金など)を贈与した場合に贈与税が課税されます。
ただし、次に掲げるような場合など、様々なケースが贈与税の対象となるので注意が必要です。

 
1.親子・夫婦間など親族などから、一般では考えられない条件で借金をした場合
 例)無利子・あるとき払いの催促無しなど銀行などからの借入れと相違がある場合
 対策)⇒金銭消費貸借契約書を作成し、一定の利息を設定し、契約書に従い毎月返済する必要があります。また、返済完了期間は返済相手の年齢が80歳程度に、他に住宅ローンなどがある場合は合算して返済可能な範囲にしておく必要があります。
→親族間の借入について
→住宅購入時の持分割合について
2.不動産の購入時、本来の負担割合と違う登記を行った場合
 例)自身が2,000万円・親が1,000万円を負担して土地を購入し、共有割合を自身1/2・親1/2として登記している場合は、差額の500万円が贈与税の対象となります。
 対策)⇒取得した土地に親と同居をする場合、相続時に親名義の土地について小規模宅地等の特例を適用できますので、負担割合どおり自身を2/3・親を1/3として登記をしておけば何の問題ありません。
 注)主人名義の預金2,000万円と専業主婦の奥様名義の預金1,000万円をもとに不動産を取得した場合は、その奥様名義の1,000万については、奥様が働いていた時の給料によるものであるのかなど、その収入源泉に着目をしておかなければなりません。仮にこの1,000万円が結婚後、主人の給料をもとに貯めていたものであれば、100%主人名義で不動産登記をしなければなりません。
 注)共働きの家庭で夫婦の収入を一つの口座にまとめているような場合は、夫婦の収入の比率などで按分する等の簡便的な方法で対応するしかありません。 
3.自分の借金を親などに返済してもらい、その後親などに返済をしない場合
→債務免除について
4.時価よりも著しく低い価格で財産を購入した場合
→低額譲受
5.金銭の受け渡しなく財産の名義を変更した場合
6.土地の無償使用
→土地の無償使用について
7.負担付贈与
→負担付贈与について
8.離婚時の財産分与(通常の額を超える場合のみ)など
→離婚時の財産分与について

(3)贈与税の対象とならない財産

  次に上げるような財産の贈与は、社会理念上課税が適当でないこと等を理由に、贈与税が課税されないことになっています。
  1.  生活費や教育費(社会理念上、必要と認められるものに限る)
  2. 香典・お見舞金・お中元・お歳暮・お祝金(社会理念上の相当額に限る)
  3.  離婚時の財産分与(通常の額)
  4.  会社からの贈与財産=所得税の一時所得として課税
  5.  相続開始の都市に被相続人より寄与を受けた財産=相続税として課税
  →贈与税がかからない場合
  →離婚時の財産分与について

(4)贈与税の配偶者控除について

贈与税の配偶者控除とは、暦年贈与課税の特例で、通常の基礎控除のほかに2,000万円の特別控除が受けられる制度です。つまり、この適応を受けた場合で他に贈与がなければ、基礎控除の110万円と特別控除の2,000万円を合計して2,110万円まで贈与税が課税されません。この特例の適応条件は次の通りです。
 1.贈与時の婚姻期間が20年以上であること
 2.自らが居住するための居住用不動産(取得のための資金を含む)であること
 3.贈与を受けた翌年の3月15日まで取得した居住用不動産に居住し、その後も引き続き居住の用に供する見込みであること
 4.過去にこの特例を受けたことがないこと(一生に一度しか適応がありません)
なお、この特例を受けた場合、贈与税額がゼロになる場合であっても必ず申告書は提出しなければなりません。
この特例を受けるメリットの一つとして、この特例の適用を受けた場合、贈与した配偶者が3年以内に死亡しても、贈与税の配偶者控除の特例を受けた居住者財産(2,000万円を超える部分は除く)は、相続税の贈与財産の加算から除外されます。
居住用財産の贈与をした配偶者が贈与をした年に死亡した場合であっても、同年に贈与税の配偶者控除の特例があったものとして、相続税の贈与財産の加算対象から除外されます。
→夫婦間で居住用財産を贈与したときの配偶者控除
 →贈与税の配偶者控除の対象となる居住用不動産の範囲
 →贈与税の配偶者控除と相続税の贈与財産の加算との関係について

(5)相続時精算課税制度について

→相続時精算課税制度について
 1.適用要件
  a)贈与した年の1月1日において贈与者(親)が65歳以上であること
  b)贈与した年の1月1日において受贈者(子)が20歳以上の推定相続人であること
  c)贈与した年の翌年2月1日から3月15日までの間に相続時精算課税制度選択届出書を
贈与税の申告書に添付して所轄税務署長に提出すること
  注)この選択は受贈者である兄弟姉妹が別々に贈与者である父・母ごとに選択できます。
 2.

適用財産
贈与財産の種類・金額・贈与回数に制限はありません。
ただし、この制度を適用後の贈与財産の合計額が特別控除額の2,500万円を超えた場合、その超えた部分について、一律20%の贈与税が課税されます。

 3.→住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例
  a)適用要件
《a》 一定の自己居住用の住宅取得や増改築等の資金であること
《b》 贈与の翌年3月15日までにその住宅を居住の用に供すること
《c》 贈与年の1月1日において受贈者(子)が20歳以上の推定相続人であること
注) 贈与年の1月1日において贈与者(親)が65歳未満であっても適用できます。
  b)特例の内容など
通常の相続時精算課税制度の特別控除額2,500万円に1,000万円を上乗せした3,500万円が特別控除額として
適用されます。
通常の相続時精算課税制度の特別控除額2,500万円と住宅資金特別控除額1,000万円の控除順序は、
住宅取得資金の贈与を受けた年において、住宅資金特別控除額の1,000万円から控除します。
 4.相続時精算課税制度の注意点
  a)この制度により贈与税額がゼロとなる場合も申告をしなければなりません。
  b)この制度を適用すると相続時まで適用されるため、以後暦年贈与課税により贈与税を計算することは出来ません。
(この制度の適用後、基礎控除110万円の適用不可)
  c)この制度の選択を適用後、取り下げることは出来ません。
  d)受贈者が受贈財産を消費や譲渡してしまった場合に納税資金が不足する恐れがあります。
  e)相続発生時に相続財産に加算される金額は贈与時の時価ですので、株式(同族会社の株式を含む)等の評価の安定しない財産についてこの制度を適用すると相続時まで有利・不利が判断できません。
 5.相続時精算課税制度の適用が有利となる財産
  a)

不動産収入がある収益物件
財産の贈与だけではなく、不動産所得を贈与者から受贈者へシフト出来ます。(相続税の納税準備金とする)

  b)事業用財産(棚卸資産や事業用固定資産など)
財産の贈与だけではなく、事業所得を贈与者から受贈者へシフト出来ます。(相続税の納税準備金とする)
  c)

将来時価の上昇が見込まれる財産(値上がりが確実な土地や株など)
相続時に加算される金額が贈与時の時価となるため、相続時まで贈与者がその財産を保持しているよりも
低い価額で計算することが出来るため、有利です。

 6.相続時精算課税制度の適用が不利となる財産
  a)小規模宅地等の特例を適用できる土地
相続時精算課税制度を適用することで、小規模宅地等の特例を適用できなくなる為、
相続税の納税額が増加してしまい、かなり不利になります。
  b)物納を予定している財産
相続時精算課税制度を適用することで、物納できなります。
  c)将来時価の下落が見込まれる財産(値下がりが確実な土地や株など)
相続時に加算される金額が贈与時の時価となるため、相続時まで贈与者がその財産を保持しているよりも
高い価額で計算することになるため、不利です。
 7.暦年課税と相続時精算課税との違い
 
 暦年課税相続時精算課税制度
贈与者年齢制限無し65歳以上
受贈者年齢制限無し20歳以上
控除額110万円(毎年)2,500万円(住宅特例3,500万円)
税率超過累進税率一律 20%
選択不要父母・兄弟姉妹ごと
相続時の合算対象相続開始前3年以内の贈与制度を適用した財産全て
相続時の合算価額贈与時の時価
相続時の還付還付無し納付超過分は還付有り